さて、ちょっとしばらく「歌」に関する話題を取り上げようかと思います。
というのも、前回の「リスナーを育てる」に関連していて
現在、カラオケのことをいろいろ考えたり、調べたりしています。
で、たぶんしばらくの間、僕の意識が「歌」の方向に向いていると思いますんで
どうしてもその話が多くなるだろう、ということで(笑)
そこで、今回ちょっとヴォイストレーニングに関して考えて見ます。
というのいも、カラオケのことを調べている時に面白いことに気がついたんです。
それは図書館に行った時のこと。
僕は、月に1度か2度ほど、図書館に行って本を借りるのですが
先日、図書館に行ったついでにカラオケに関する本を見てみようと思って
探してみたんです。
端末で検索したら10冊以上カラオケノウハウ本みたいなのがあって
そのコーナーに行ってみたら・・・。
なんと全部貸し出し中なんです!
同じコーナーの結構著名なヴォイストレーナー方の本とか
本格的な歌の本は一切手付かずなのにもかかわらず
カラオケの本は全て貸し出し中なんです。
なんか驚いてしまいました。
何に驚いたか?
歌がうまくなりたいと思っている人がそんなに多いのか、
と、思ったことがひとつ。
もうひとつは、本当にうまくなりたいのならカラオケの本など借りず
ヴォイストレーニングの本を借りそうなもんなのに、そうではなかったということ。
バンドをやっているミュージシャンなら、カラオケ本は選ばないかもしれませんが、
普通の歌がうまくなりたいと思う人は難しそうな本を選んでいないんですね。
僕なんかだったら、やはりヴォーカル向けの本を選んでいます。
別にどちらが優れた本だ、なんていうことじゃなく
専門的な本のほうが効果ありそうじゃないですか(笑)
でも実際に貸し出されているのはカラオケの本なんです。
で、もう一箇所、別の図書館にも行ってみたんですが
まったく同じ傾向でした。
要するに、歌のうまくなりたい人って、
難しい理論や、訳のわからない(判りにくい)
トレーニングって興味を持っていないんだなあと思ったんです。
ああ、でもこれは僕も一緒ですけどね(笑)
ヴォイストレーニングの理論や、正しいエクササイズは
歌をうまくなる上で間違いなく効果があります。
大切なことだと、僕も感じます。
でも、所謂、ヴォイトレの先生が言っていることと
実際の現状を考えると、少し矛盾も感じるんです。
どんな矛盾かというと・・・。
声の重要性と、歌や音楽としての重要性のバランスが
取れていないのではないか、ということ。
例えば役者さん。
舞台をメインに活動している役者さん。
そんな役者さんを集めたら、
ほぼ間違いなくシンガーよりヴォイストレーニングをやっています。
マイクを使わない舞台演劇において発声というのは命綱です。
客席に声が届かなかったら、演技もくそもないわけです。
だから、舞台役者は徹底して発声練習しています。
そこら辺の自称ロックヴォーカリストなんか足元にも及ばない声量を持っています。
でも、役者はそこがスタートで、
ただ単に発声がしっかりとしていればいい役者か?といえば
まったく違って、役者としての能力はまったく別のところで評価されます。
演技としての、技量、役の理解度、オリジナリティ、
クリエイティブな表現、
要するに、役者の世界もイメージ力が勝負な訳です。
声がある程度ちゃんとしていることが大前提で、
評価されるのは発声という要素ではなく
それとは別の「イメージ力」なわけです。
これは、本当に当たり前の話で、よく理解できると思います。
じゃあ、音楽の世界ではどうでしょうか?
実は、音楽の世界でもまったく一緒です。
ある程度のヴォイストレーニング、ある程度の発声法、
こういうのは確かに基礎として大事です。
当たり前です。シンガーは声を使うのだから。
でも、歌をうまくなりたいという人、
いい歌をうたいたいという人、
そして、歌うことを指導している人、
ちょっとヴォイストレーニングに偏りすぎていないですか?
発声の仕方、声帯の使い方、体の使い方、
そういうことに偏りすぎていないですか?
発声は本当に大事です。
(こう言いながらも、僕自身は発声に対する基準点はかなり厳しいほうです。)
でも、歌の先生には、声を教えるだけでなくちゃんと音楽を教えて欲しい、
イメージすることの重要性をもっともっと伝えて欲しい、そう思うんです。
先ほどの役者の話に戻れば、発声がちゃんとしていてるだけでは
役者ですらないんです。
シンガーもそうでしょう。
発声がちゃんとしていても、それだけではシンガーですらありません。
(まあ、実際にはプロの歌の世界で発声が凄ければ仕事はあるでしょうが)
でも、それだけではいいシンガーとは少なくても僕は認めません。
例えば、ジョーコッカー。
かなりだみ声で、がなり立てるシンガー。
誰もが認めるシンガーでありながら、アメリカでは
悪い歌い方の見本のような扱いらしいです。
「そんな歌い方してると、ジョーコッカーのようになっちゃうよ!!」
これは、とある日本のプロミュージシャンが
アメリカでヴォイストレーニングを受けたときに言われたそうです。
もちろんジョーク交じりの話しだとは思いますが
たしかに、ジョーコッカーはのどに悪い発声を、
特に若いときにしています。
でも、ジョーコッカーは紛れもなく
数少ない「ザ・ヴォーカリスト」です。
誰にも真似できない表現で、誰にもまねできない歌をうたいます。
こちらを参考に
Joe Cocker - With a Little Help From My Friends (Woodstock)
http://jp.youtube.com/watch?v=6FMq0iDX1yE
例えば、アレサフランクリン。
もちろん発声も素晴らしい!
でも、アレサがヴォイストレーニングしているとはとても思えません。
Aretha Franklin & the Blues Brothers - Think
http://jp.youtube.com/watch?v=QVImeWXWck0
ヴォイストレーニングが大事なことは本当に認めます。
それが判っていても、でもあえて言います。
声量や声のパワー、そして発声、
それを誰よりも気にするからこそあえて言います。
それだけでは駄目だと。
それだけではまったく駄目なんだと。
僕らがやっているのは「音楽」なんだと。
先ほど言った、
「声の重要性と、歌や音楽としての重要性のバランス」
これを考えて指導しているだろうなあ、と思わせるヴォイトレの先生も
何人かいます。
でも、たぶんそれはほんの一部。
そう感じると、何かいい方法はないだろうか?
なにか、歌が上手くなりたい人のための、現実的なノウハウ、
そんなものが提供できないだろうか?
なんて事を考える今日この頃なのです。
PS
本当はこういう問題以前に、けっこう大事な問題があって・・・。
シンガーって本当に練習しない人、練習が足りない人、
こういう人が多いです。
例えば、たった一年でもいいから、私は毎日2時間歌いました、
こういうことを言える人にはめったに会えません。
2時間のライブをちゃんとこなせるための練習、
それを想定して、アマチュアだけれどもやってみる。
そういう人にはめったに会いません。
結局、殆どのシンガーが、ヴォイトレもなにも歌う時間が足りなさ過ぎるんです。
うまく歌うための方法、高い声を出すための方法、
3オクターブの声を出す方法、
そんな方法だけを探していたりするんです。
でも、そんな方法論だけで上手くなれるようなものは、結局どこにもないんです。
なぜ、ヴォイストレーナーの先生は、
「高い声なんか必要ないんです。」
「3オクターブの声域なんて必要ないんです。」
と、本当のことを言わないんだろう?
逆に、
「3日で高い声が出るようになります!」
とか商売するし(汗)
まあ、しょうがないことなんでしょうけどね。





















